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五味文彦「躍動する中世/新視点中世史(全集 日本の歴史 第5巻)」を読む

五味文彦「躍動する中世/新視点中世史(全集 日本の歴史 第5巻)」を読む_d0001004_17485112.jpg 五味文彦「躍動する中世/新視点中世史(全集 日本の歴史 第5巻)」を読んだ。
 この全集は順調に刊行してますね。この巻から中世です。
 後書きに、日本史における時代区分について書いてありました。
 古代の始まりを668年の天智天皇即位とし、中世の始まりを1068年の後三条天皇即位による延久の国政改革とし、近世の始まりを1467年の応仁の乱による戦国時代とし、近代の始まりを1867年の明治維新とするといった、それぞれ400年区切りの時代区分を提唱していました。
 更にそれぞれ200年ごとに区分けし、更にそれを100年ごとに区分してます。
 わたしにはその妥当性を云々する力はありませんが、うまい切り口を見つけたもんだとは思いますね。
 さて、対象の中世についてですが、この巻は新視点中世史ということで、中世全般を扱っています。
 そしてこの全集全体の方針通りに、政治的動きの記述は最低限に抑えられており、その代わりに絵巻物などの資料を駆使して、都市の姿、生活の様子、信仰などなど多面的にこの時代を描こうとしているようです。けっこう視野を広げてくれる著作でした。
 ただ、網野さんの著作への異論がやけに目立ってました。東大の歴史学の本流を歩んだ著者には、傍流であり続けた網野さんの評価が高いのが我慢ならないんでしょうか。チョット心が狭い気もしますね。

 小学館、2008年04月30日初版1刷、2520円、A5版、402頁。
 著者の五味文彦(1946-)さんは日本中世史専攻の東京大学名誉教授です。
 目次:第1章 日本列島に広がる歌と人、第2章 境界から中央へ、中央から境界へ、第3章 政治の型の創出、第4章 中世の生活と宗教、第5章 列島を翔る人々、第6章 政治と文化のかかわり、第7章 中世の環境と社会の変化。

by daisenhougen | 2008-05-27 07:48 | 読書-詩歌小説評論他
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