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今橋映子「フォト・リテラシー」を読む

d0001004_9455999.jpg 今橋映子「フォト・リテラシー 報道写真と読む倫理」を読んだ。
 まず最初に、かの有名なカルティエ=ブレッソンの「決定的瞬間」という写真集の題名が誤訳であり、実際は「かすめ取られたイマージュ」てあったいったことからはじめています。
 さらに「LIFE」誌の数々の組写真が分業で作られているといったことも明かされます。
 そして「写真が、たとえそれが演出(あるいはやらせ)写真でなくとも、「現実」の直接の反映ではなく、写真家の時々刻々の選択や、写真が掲載される媒体、さらにそれを取り巻く歴史的、政治的、文化的文脈によって何らかに規定されて私たちに届く「制作物」なのだということである」としています。
 写真史上の古典となった作品を俎上に挙げながら写真の読み方を伝授するといったとこですね。 いまどき流通する写真を見て、素朴に真実を現しているなんて思っている人なんていないんですから、わざわざ仰々しくフォト・リテラシー(Photo Literacy)なる無理な概念を持ちだす必要ないと思うんですがね・・・・・。
 写真は今や時代の最先端のメディアじゃないんですから、むりやり写真だけをとりだして概念構築する必然性が感じられません。
 もう少し力を抜いて、写真の魅力を素直に書いてくれた方が良かったのではないでしょうか。

 著者の今橋映子(1961-)さんはフランス文学・比較文化専攻で東京大学准教授とのことです。写真論の著作が多いようです。
 目次:1 写真は真実か?(決定的瞬間という罠、一枚の写真から、フォトジャーナリズムの成立―両大戦間パリの事例から、写真における「現実」)、2 写真の流通現場(組写真の時代、写真集という物語)、3 読む倫理のために(写真と異文化表象、写真は世界を救うか、ニヒリズムを遠く離れて)。
 中央公論新社(中公新書)、2008年05月25日発行、819円、新書版、256頁。

by daisenhougen | 2008-06-28 07:45 | 読書-詩歌小説評論他
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