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雑誌「文藝春秋 9月特別号」を拾い読み/楊逸「時が滲む朝」

d0001004_9262123.jpg 雑誌「文藝春秋 9月特別号」を拾い読みした。この号は恒例の芥川賞発表号で第139回 芥川賞は楊逸さんの「時が滲む朝」でした。
 初めての中国人による芥川賞受賞ということで話題になってますね。
 まず選考委員による選評です。石原慎太郎、高樹のぶ子、池澤夏樹、村上龍、川上弘美、黒井千次、宮本輝、小川洋子、山田詠美といった日本文学に重鎮によるコメントが載ってます。
 紋切り型の陳腐な表現に対する違和感の表明が目につきました。
 次に受賞者、楊逸(ヤン イー)(1964-)さんのインタビュー「天安門とテレサ・テンの間で」が掲載されていました。家族と一緒に下方政策で辺境に地に追いやられたことから、天安門事件、日本への留学、結婚、離婚といったことが語られていました。あっけらかんと語られているとこが大陸的なのでしょうかね。
 さて、いよいよ受賞作の「時が滲む朝」です。
 インタビューで語られていたことが、設定こそ男に変えてありますが、ほぼ同じように描かれています。自伝的色彩の強い作品ですね。
 政治に翻弄され、政治的な主張を唱え、挫折しといったことが古典的描写で描かれています。選評にあったように紋切り型の描写がいささか興をさまされたのも確かでした。
 そしてテレサ・テンと尾崎豊の歌詞がモチーフの中心てのも底の浅さが見え見えになってました。
 でも、政治といったものを中心主題として描く姿勢は懐かしくもあり、羨ましくある気もしました。
 前回の受賞作、川上未映子「乳と卵」(その時の感想はこちら)は描くことはほとんどなくなり、些細なことにこだわりにこだわって、そのことを表現の新しさでカバーしようとしたこととは対極にあるようでした。

 その他には「異形の大国」中国に問う─、日本の師弟89人といったこの雑誌のいつもの記事が満載でした。あんまり興味をそそる記事は見あたらなかったですがね・・・。

by daisenhougen | 2008-08-25 07:25 | 雑誌など
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