片岡義男「ナポリへの道」を読んだ。
片岡さんの著作といえば、「自分と自分以外~戦後60年と今」を読んで感銘を受けて以来、特に熱心ではないですが、注目している存在ではあります。 今回はスパゲッティにまつわる蘊蓄集です。食べ物に関する蘊蓄集では「白いプラスティックのフォーク」がありましたが(感想はこちら)、今度はテーマをぐっと絞っていますね。 ただ読後感としては、なんとも奇妙な印象しか残りません。 ナポリタンが戦後の占領期に誕生したといったことから、戦後の変遷をいろんな著作から取り出して入るんですが、それ自体特色のある話ではありません。 数冊のネタ本に尽きてしまうような情報量ですね、 ナポリタンを論ずるだけなら、もっと徹底して来歴を調べ尽くして欲しかったですね。 かなり中途半端です。 又、片岡さんのナポリタン体験も語られていますが、極めて淡い関係にしか思えません。 片岡さんにとって戦後一貫して偏愛し続けた対象でもなさそうですね。 それがなぜ、一書をものにする必然性があったのでしょう。 結局、このナポリタンなる食物を取り上げたのは、江戸期の食文化にもつながる戦後の食べ物の象徴的存在であるとする、片岡さんの単なる思いつき過ぎないようにしか思えませんでした。 次の一書に期待ですね。 目次:1章 いかなる理由でナポリタンなのか、2章 元帥とイタリア風のスパゲッティ、3章 小麦をどう食べるか、4章 かあちゃん、腹へったよう、5章 デュラム、セモリナ、アル・デンテ、6章 なんでも好きなものを食べたまえ、7章 御八つ、お三時、三時ですよ、8章 ケチャップの瓶を逆さに立てる、9章 ナポリタンをシェアしたくない昭和の子供、10章 沈んでいく日本、浮かび上がるナポリタン、11章 ナポリタンのウィンドー・サンプルを探す旅、12章 トマトが僕を追いかける、13章 ナポリタンのある街、14章 トマトにおけるファンタジーという日常、あとがき。 東京書籍、2008年09月01日第1刷、1,365円、四六版、157頁。
by daisenhougen
| 2008-09-20 06:37
| 読書-詩歌小説評論他
|
by daisenhougen
検索
カテゴリ
全体 鑑賞記-コンサート 鑑賞記-展覧会 鑑賞記-映画 鑑賞記-伝統芸能他 鑑賞記録(まとめ) 読書-詩歌小説評論他 読書-展覧会図録 読書記録(まとめ) 雑誌など CD・DVD・ビデオ 買い物 オモチャ等々 街歩き・お出かけ その他 以前の記事
2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 ライフログ
メモ帳
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||