吉本隆明「中学生のための社会科」を読む

d0001004_1552637.jpg 吉本隆明「中学生のための社会科」を読んだ。彼の著作は出るたびにほとんど読んできた。最近は語りおろし形式でいささか密度が低く感じられるが、腐れ縁みたいなもんで出版されれば読んでしまう。
 吉本ワールドをコンパクトにまとめたような内容だが、想像上の中学生ならまだしも、この独自な表現をふくめて、簡単に理解できるしろものではない。特に最近の著作は簡潔で表現がやわらかい分、かえってはじめて触れる人には理解が難しいのではないだろうか。
 小生にとっては、第二章の「老齢とは何か」にもっとも興味をひかれた。個人的な体験を内省することから哲学的思弁、そして政治論まで縦横に結びつける吉本ワールドの一端が出ているようだ。もっとこのテーマだけを追求して一冊の著作を出してほしいぐらいだ。
 最後のユートピア論はもっと緻密な議論と具体的な展開がほしい。近年、繰り返し述べているテーマで、小生には吉本さんの思いはわかるがイメージが構築できない内容である(単なる小生の理解力不足かも)。この論述だけでは、吉本さんの思いも伝わらないのではなかろうか。
 批評家として最後の仕事はこの2つのテーマを掘り下げた著作を別々に出してくれることを期待したいのだが。
 そういえば「心的現象論」の各論は単行本で出版しないつもりなんだろうか。

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by daisenhougen | 2005-03-30 15:17 | 読書-詩歌小説評論他
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