地克直「徳川社会のゆらぎ (全集 日本の歴史 第11巻)」を読む

d0001004_731243.jpg 倉地克直「徳川社会のゆらぎ (全集 日本の歴史 第11巻)」を読んだ。
 この巻は綱吉が将軍になった延宝八年(1680)から、田沼意次が最終的に失脚して松平定信が登場する天明七年(1787)までが対象です。
 この百十年を綱吉の「元禄時代」、新井白石の「正徳の治」、吉宗の「享保の改革」「田沼時代」の4つの時代に分けられるとしています。
 ただ他の巻と同じように、政治的な出来事や改革の内容などが詳しく述べられているわけではありません。
 細かな政治的事項を追うのではなく、あくまでも18世紀の江戸社会全体をトータルとしてとらえようとしています。
 そしてこの時期を、今まで語られてきた繁栄や成熟期とする見方に大きな転換を迫っています。すなわち、この時期を停滞期ととらえているのです。
 17世紀の成長拡大期を経て、その限界にあって、その定着に苦労し、多くの災害に立ち向かわねばならなかった時期ととらえています。
 そしてその中から、「「治」のシステムが多層化しはじめた」として、この時期を描いています。
 まさしく、目から鱗の指摘です。
 この巻もまた充実していましたね。
 スリリングな読書を楽しませてもらいました。

 著者の倉地克直(1949-)さんは日本近世史専攻で岡山大学教授とのことです。
 目次:はじめに 成熟か、停滞か、第1章 綱吉・吉宗と「公儀」、第2章 享保と天明の飢饉、第3章 田沼時代と国益、第4章 「いのち」の環境、第5章 都市と「世間」、第6章 社会の胎動。
 小学館、2008年11月01日初版1刷、2,520円、A5版、370頁。

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by daisenhougen | 2008-11-15 07:30 | 読書-詩歌小説評論他
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