神谷秀樹「強欲資本主義ウォール街の自爆」を読む

d0001004_1836852.jpg 神谷秀樹「強欲資本主義ウォール街の自爆」を読んだ。
 世界有数の金融機関の破綻が何故起こっているかを、極めてタイムリーに伝えてくれててます。 そうなんです。銀行って昔の銀行じゃないんですね。
 わたしなどは、バンカーとして誇りを持ちながら、産業資本の黒子に徹した時代の銀行イメージがまだ残っていましたが、すっかり変わっていることが的確に伝えてくれます。
 金融ビッグバン以降、金融機関の垣根が撤去されるとともに、顧客のための銀行ではなく自らが相場師となってしまったそうです。
 ついには「今日の儲けは僕のもの、明日の損は君のもの」といった風潮がはびこり、そして「一部の人たちが巨大な富を形成し、一方で大多数の人々が搾取される仕組みと化した」アメリカを中心とする「強欲資本主義ウォール街」が自爆するのは当然のことですね。
 長年、ウォール街で金融機関を経営してきただけに、内幕ものとしても出色の読み物となってます。
 結局は著者が言うように、経済成長は技術革新なしにはあり得ないのかもしれません。それを強引に金融技術で成長しようなんて、そもそも無理があるとの主張に納得させられました。

 著者の神谷秀樹(1953-)さんは住友銀行、ゴールドマンサックスを経てアメリカで投資銀行を設立とのことです。
 目次:序章 アメリカ経済はなぜ衰退したのか、第1章 ゴールドマン・サックスの変質、第2章 モノ作りができなくなったアメリカ、第3章 今日の儲けは僕のもの、明日の損は君のもの、第4章 強欲資本主義のメカニズム、第5章 資産運用ゲーム、第6章 サブプライム危機から世界同時不況へ、第7章 バブル崩壊にいかに立ち向かうか。
 文藝春秋(文春新書)、2008年10月20日第1刷、746円、新書版、206頁。

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by daisenhougen | 2008-11-23 07:36 | 読書-詩歌小説評論他
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