宮下誠「カラヤンがクラシックを殺した」を読んだ。
カラヤン生誕100周年という事で、カラヤンのCDが再発されたり結構賑々しいですね。 そういった中で、カラヤン嫌いらしい著者がカラヤンにブーイングの著作を出しましたといったとこですかね。 ただ学者としては、単に嫌いですと言うことで済ますわけにいかなかったのでしょう。せっせと思想的なものと絡めて論じています。 でも、カラヤンの音楽がそんなに思想論的に論ずるほど価値あるのといいたいですね。 ひたすら美しく、ひたすら表層的に、ひたすら軽く音楽を作った、単なる職人的指揮者じゃないですか。 拝金主義だとかいったところで、別に職業指揮者の評価を落とすことでもないですしね。 しかもそんなことはカラヤン存命中から散々言われ尽くした評価です。 何を今更といった感じです。 まぁ、カラヤンなんて、そんなに力まなくても、段々忘れられるだけに過ぎない存在の気がしますよ。 それに対する指揮者として、著者はクレンペラーとケーゲルという指揮者をめちゃくちゃ持ち上げています。 クレンペラーはかつて熱心に聞いたことがあります。 こんなに褒めあげなくても、カラヤンよりすぐれてるのは当たり前です、といった存在です。 比較したらクレンペラーがかわいそうですよ。 ケーゲルという指揮者は、わたしのカバーの範囲外の指揮者です。 そんなに陰々滅々な音楽を奏でるなんて、チョット興味ひかれました。 ぜひ聴いてみなくてはなりませんね。 わたしにとってはこの著作で唯一の役に立ちそうな情報でした。 とにもかくにも仰々しすぎるCD紹介本でした。 やっぱり宮下さんは、本職の絵画論に絞った活動の方が冴えている気がしました。 目次:第1章 音楽の悪魔―プロレゴーメナ、第2章 流線型の美学―ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)、第3章 孤高の絶対音楽―オットー・クレンペラー(1885~1973)、第4章 絶望の音楽―ヘルベルト・ケーゲル(1920~1990)。 光文社(光文社新書)、2008年11月20日初版1刷、861円、新書版、286頁
by daisenhougen
| 2008-11-26 07:01
| 読書-詩歌小説評論他
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