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雑誌「國文學 6月号」を拾い読み

d0001004_13152216.jpg 雑誌「國文學 51巻6号 06年6月号」(学燈社)を拾い読みした。
 特集は「映画の最前線」ということで、「世界でいまいちばんホットな映画はこれです」のキャッチコピーに惹かれてた事と、最近、小生に見た映画が何点か取り上げられていたので買ってしまいました。
 収録された特集論文は次の通り。四方田犬彦「ミュンヘンの灰、ハリウッドの黄金」、石田美紀「イタリア・・」、崔盛旭「韓国映画・・」、吉岡憲彦「タイの怪奇映画」、阿部嘉昭「日本-荒戸源次郎論」、岡真理「イスラエル/パレスチナ」、和泉大介「想像上の教会としてのトルコとドイツ」、丸川哲史「世界の複製と中国の不在」、渡辺涼「パリの映画・映画のパリ」、陣野俊史「ヨーロッパ圏」、安岡真「ハリウッドのいい映画」、中村高寛「『ヨコハマメリー』について」、梅林茂「映画音楽の現場から」、三宅流「『面打』という行為」、篠田正浩「鷗外の熊本」。
 かなり目配りを広く取って、世界各地のまさしく映画の最前線をカバーしてますね。けっこう面白い特集で、大半を読んでしまいました。でもやっぱり四方田犬彦さんの論文は別格ですね。
 久しぶりに雑誌「國文學」買いましたが、結構興味惹かれる特集号も出しているんですね。
 今回の雑誌で取り上げていて、実際に小生が最近見た映画は「夜よ、こんにちは」「ある子供」「マンダレイ」「アメリカ,家族のいる風景」「ブロークバック・マウンテン」でした。まだまだ見ている範囲が狭いですね。そしてこの雑誌を読んで、見たいと思っても上映は終わっているので、見ることができないのは残念ですね。

by daisenhougen | 2006-06-06 06:06 | 雑誌など

草森紳一・四方田犬彦「アトムと寅さん」を読む

 草森紳一・四方田犬彦「アトムと寅さん-壮大な夢の正体」(河出書房新社)を読んだ。 博覧強記で有名な草森紳一さん(1938-)と四方田犬彦さん(1953-)の対談集です。昨年末に出版されてたようですが、見落としていまして、遅ればせながら今頃読みした。
 四方田さんは今、最も、脂ののっている書き手の一人ですね。小生もこのブログ始めてからも「ラブレーの子供たち」「見ることの塩」「かわいい」論」と読んで、その度に啓発されてきました。
 さて、今回はテーマが「鉄腕アトム」(1952-1968)と「男はつらいよ」(1969-1995)だそうです。「まえがき」によれば「その神話的映像は現在に至るまで決して衰えることなく(中略)繁殖に繁殖を重ねている。アトムと寅さんは、今日の日本社会が優れて携えているイデオロギーであり、世界観の容器である」と高らかに宣言しています。
 ということで目次を写しておきます。第1部アトムと人類「僕の一生のテーマは差別です」(手塚治虫との出会い)、「地球人のかわりに話しあいに来たのです」(サンフランシスコ講和条約とアトム大使)、「あなたは人間です。だからわたしも人間だといってください」(悪夢と化したユートピアと人間の定義)、「人類はまだほろびはしないでしょう」(永劫回帰と紙の幻術)、「おい、畑はどうするんだ?」(手塚治虫との訣別)。第2部寅さんと日本人「てめえ、さしずめインテリだな」(罵倒の文法)、「柴又の江戸川は黒海までつながる」(馬鹿の系譜と壮大の夢)、「日本人は、みんなヤクザだ」(七〇年代映画と百恵神話)、「寅さん!北朝鮮に行く」は、ありうるか?(アウトローと正義のゆくえ)、「桜が咲いております。懐かしい葛飾のさくらが・・・」(作られた下町と不登校)。
 以上のように目次だけでも凄いですね。博覧強記の超インテリの二人による大衆文化論ですね。
 ただ、その試みはあんまり成功したとは思えませんでした。二人ともにあまりに博覧強記である為か議論はほとんど空回りに終わってますね。結局は二人の膨大なそして些末な知識の開陳合戦といった風に終わってしまってますね。何でなんでしょうね。ベクトルが全く合ってませんね。映画と漫画といったサブカルチャーの先駆的な第一人者どうしなのにどうしたことでしょうね。
 まあ、対談集ですから、あんまり期待してはいけませんね。

by daisenhougen | 2006-06-05 06:08 | 読書-詩歌小説評論他

「アルベルト・ジャコメッティ展」を見る

d0001004_13473582.jpgd0001004_13474821.jpg 昨日(6月3日)「神奈川県立美術館 葉山」で「アルベルト・ジャコメッティ‐矢内原伊作とともに」を見た。
 やっと待望の展覧会が開催されました。開催初日ということでマスコミ関係者や招待客もいっぱい来ていました。でも、人だかりで見ることができないと言った感じではありません。けっこうじっくり見ることができました。この美術館は昨年5月に片岡球子展に行って以来、1年ぶりの訪問ですね。
 アルベルト・ジャコメッティAlberto Giacometti(1901-1966)は若かりし時、心惹かれた彫刻家です。極限までそぎ取った彫刻表現に感動しました。作品集を買って眺めていた記憶があります。その後も結構意識して追いかけてきましたが、まとまった形で実物を拝見するのは今回が初めてです。
 今回はジャコメッティ財団の協力を得て彫刻、絵画など140点以上の展示とのことです(内、彫刻は41点ですね)。
 まず、「初期/キュビズム、シュルリアリズムを経て」ではジャコメッティの初期の作品の展示です。浮世絵の模写、古代造形の影響を受けた彫刻作品など興味深い作品が並んでいました。ここではやっぱり「歩く女Ⅰ」に惹かれました。
 次に「モデルたち-ディエゴ、アネットを中心に」では、ジャコメッティの中心的主題の人物像の彫刻や絵画、デッサンが展示してあります。針のように細長くなったり、平面に限りなく近づいたおなじみの彫刻が並んでいました。このコーナーでは「ディエゴの胸像」に惹かれました。
 更に「ヤナイハラとともに」では矢内原伊作に関する彫刻や絵画、デッサンが展示してありました。今回の展示会の目玉コーナーだけあって充実した展示でした。9点の油彩画と2点の石膏彫刻、そして数々の素描が展示してありました。特に2点の石膏彫刻「ヤナイハラⅠ」「ヤナイハラⅡ」はすばらしかったですね。
 最後に「空間の構成と変奏-人物、静物、風景、アトリエ」ではジャコメッティの幅の広さを示す作品が展示してありました。特に「台上の4つの小彫像」や「鼻」などの彫刻に惹かれました。
 非常に充実した展示でした。そして彫刻だけでなく、絵画(油彩画)の作品にも惹かれました。完成品からはてしなく遠いこれらの油彩画もいろいろ考えさせられますね(宣伝文によれば、セザンヌ以降に展開された絵画の実験の極北に位置するそうです)。
 図録を買いましたので、読んでから感想続けます。


by daisenhougen | 2006-06-04 06:46 | 鑑賞記-展覧会

賀川恭子「西洋絵画の巨匠4 ルノアール」を読む

 賀川恭子「西洋絵画の巨匠4 ルノアール」(小学館)を読んだ。
 ピエール=オーギュスト・ルノアール(1842-1919)は印象派の代表的存在で日本での人気も高いですね。そしていろんな展覧会で目にする機会も多いです。
 でも、へそ曲がりの小生にはまったく良さが解らない存在でした。美しく描かれた少女像などは綺麗ではあるけれど、それだけジャンといった感じを持っていました。更に、小生が最も苦手なのがルノアールの晩年の裸婦ですね。どこが良いのかさっぱり解りませんでした(そしてそこから直接影響受けた梅原龍三郎などの日本の洋画家も苦手ですね)。
 ところが、昨年の9月に「フィリップス・コレクション展」に展示してあった「船遊びの昼食」を見て、ルノアールって結構力ある画家なんだと思いはじめていました。
 そして今回の本です。もう少しルノアールが好きになるかと期待しましたが、やっぱり駄目でした。
 入門書ですのであんまり期待してはいけませんが、やっぱりルノアールってツマンナイの印象は変わりませんでした。もう少し、見直すような新たな視点を提供してほしかったですね(あんまり好きではなかったモネだって宮下誠さんの「20世紀絵画」ですっかり見直したりするんですものね)。

by daisenhougen | 2006-06-03 07:08 | 読書-詩歌小説評論他

「図録ニキ・ド・サンファル展」を読む

d0001004_16563324.jpg 「図録ニキ・ド・サンファル展」(中日新聞他)を読んだ。先日訪れた展覧会で買いました。
 冒頭にウルリッヒ・クレンペル「ニキ・マシューズからニキ・ド・サンファルへ-1950年代の絵画」で初期のニキについてアウトラインが解ります。
 カタログは「初期の作品」「射撃絵画」「ナナ-ニキ・ド・サンファルの女性像」「版画作品とポスター」「夢、心の中世界、愛と葛藤」「タロット・ガーデンと神話世界」という順序で一部解説もついています。参考の写真もついていて結構親切な作りです。
 「運命と情熱-コレクターが美術館をつくる時」といったニキ美術館設立の経緯をオーナーのYOKO増田静江の談話が載ってます。那須にこんな美術館があったんですね。今回の展覧会も初期の作品以外はこの美術館の作品ですね。9月までは休館のようですが、一度は訪ねたいですね。
 笠木日南子「ニキ・ド・サンファル-私はここにいる、そして私は愛する」で60年代以降のニキについてアウトラインが解ります。後は写真入りの年譜(ほんとうに彼女は美人だったんですね)、参考文献、出品作品リストとなっています。
 彼女は、「幼年期」の心の傷を一生抱えて生きてたんですね。幼年期の母親の愛情の不在が決定的意味を持っているようですね。その傷を表現行為に転換できたから、こういった人を引きつける作品が作り出せたようですね。ますます興味惹かれる存在になりました。彼女の作った映画「ダディー」や「美しい獣(ひと)」も一度見てみたいですね。

by daisenhougen | 2006-06-02 07:05 | 読書-展覧会図録

岡村多佳夫「西洋絵画の巨匠3 ダリ」を読む

 岡村多佳夫「西洋絵画の巨匠3 ダリ」(小学館)を読んだ。
 サリバドール・ダリ(1904-1989)はスペイン生まれのシュルレアリスム(超現実主義)の画家として有名な存在です。
 小生にとっても、結構、気になる存在の画家で、ダリの作品収集で有名な「諸橋近代美術館」でまとまった作品を見たことがあります。先日も「横浜美術館」の常設展示で数点拝見したばかりです。そして、今年も大規模な展覧会が開催予定ですので、楽しみです。
 生誕100年記念 ダリ回顧展(上野の森美術館)2006年9/23(土)~2007年1/4(木)

 さて、この本ですが、ダリを読み解く為のヒントをもう少し書き込んでほしかったですね。入門書ですから控えたんでしょうが、それぞれの作品を読み解く一端を示してほしかったですね(ダリのような画家を読み解くにはかなりの知識が必要ですからね)。代表作をきれいな図版で収録するだけではちょっと寂しいですね。
 でも、今度の展覧会の予習にはなりましたので、それで満足しておきましょう。

by daisenhougen | 2006-06-01 07:01 | 読書-詩歌小説評論他